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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20181206 『ダークナイト』

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2018年は映画『ダークナイト』公開10周年の年です。早いもんで2018年もそろそろ終わってしまうので、今のうちに皆様にこの映画をおススメしたいと思います。


2008年と言えばマーベル・シネマティック・ユニバース(略してMCU)のシリーズ第一弾である『アイアンマン』が公開された年であり、新たなアメコミ映画ブームの幕開けとなる年でした。


そして同時期に公開された『ダークナイト』はアメコミの枠を超えた超一級スリラー映画として高い評価を受けています。故にアメコミ映画ファン以外でも、今作を知っている方は多いかと思われます。


10年前にジョーカーの不気味に高笑いする予告編を観て戦慄し、実際の映画館で観た時は2時間半の上映時間が短く感じるほど映画に釘付けでした。


劇場では2回観て、DVDが発売されればすぐさま購入し、ブルーレイ版も買い、アマプラで配信されればもちろん観て、配信が終了した先日、iMovie版も購入しました。全部内容は一緒です。
要するにカネ払って何度も観るくらい好きってことです。


未見の方は以下の予告編を観ましょう。字幕が無いですが、雰囲気だけでも感じ取って頂きたいです↓

https://youtu.be/EXeTwQWrcwY


鬼才クリストファー・ノーラン監督によってリブートされた新生バットマン3部作の2作目がこの『ダークナイト』でして、その完成度は3部作の中で突出しています。


完結編である『ダークナイトライジング』も十分に面白いのですが、『ダークナイト』の前ではその魅力が霞んでしまう出来です。


3部作ではありますが、これ一本で完結したお話なので、シリーズ未見の方は『ダークナイト』だけ観ても問題ありません。
冒頭の銀行強盗のシーンから、心臓を鷲掴みにされることでしょう。

 

 

有名かつ最凶ヴィラン(悪役)であるジョーカーとバットマンの闘いを描いた今作ですが、とにかくジョーカー役を演じたヒース・レジャーの鬼気迫る演技が注目されました。本作の魅力の半分以上はジョーカーの存在にあると言ってもいいです。


虐殺の果てに銀行強盗を成し遂げたかと思えば奪った金をあっさりと燃やし、囚人と民間人を乗せた護送船をジャックしては、“ゲーム”と称して互いの手で互いの船を爆破させようと仕向ける。


金にも権力にも興味がなく、ただただ社会の秩序を掻き乱し、人間の醜い本性を露わにすることを生きがいとする“純粋な悪”であり、それ故に正義の象徴であるバットマンを殺さない。
なぜなら正義があるからこそ、悪もまた生まれるからです。


「お前が俺を完璧にしてくれるんだ」


とジョーカーはバットマンに言うあたり、バットマンは彼にとっての存在理由であり、光に対する影であり、コインの裏と表なのです。

映画の後半ではその“コインの裏と表”である悪役、トゥーフェイスも登場し、三つ巴の闘いが繰り広げられます。映画も後半からアクションと火薬量が増しマシになり、映像的にも大変手に汗握る展開となります。


娯楽色の強いクライムアクションでありながら同時に硬派でシリアスな作風として、一般の映画ファンから批評家まで満場一致で絶賛された本作ですが、残念なことにジョーカー役のヒース・レジャーは映画完成前に死んでしまいました。28歳の若さでした。睡眠薬の副作用による中毒死でした。


ジャック・ニコルソンが演じた初代ジョーカーを乗り越えるために2ヶ月間ホテルに籠って役作りに没頭し、ヒースはジョーカーに成りきったのですが、同時にプレッシャーも半端ではなく、睡眠薬が無くては眠れないほど憔悴していたようです。


批判を承知で書きますが、完璧にジョーカーを演じたヒースの早過ぎる死によって、映画がより神格化されたのは間違いないでしょう。
彼はその後、既にこの世を去りながら今作のアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。


クリストファー・ノーランによる新生バットマン3部作は世界中で大ヒットし、良くも悪くも制作を手がけた会社であるワーナー・ブラザースに影響を与えました。


ノーラン版バットマンとは関係のない作品である『バットマンvsスーパーマン』の毛色の違いにファンは戸惑い、『スーサイド・スクワッド』でヒース・レジャー亡き後のジョーカーを演じたジャレット・レトは賛否両論の評価を受けました。


何よりシリアスで重い作風にすれば売れると踏んだワーナーの一連のアメコミ作品群は、ギャグもシリアスも幅広く取り入れたMCU作品に惨敗し、『ジャスティス・リーグ』は50億円以上の赤字を出したと言われています。
これこそヒット作の呪縛と功罪と言えるのかもしれません。


もはや終わりなく増殖し続ける一大アメコミ映画時代に生きている我々ですが、その黎明期に作られ、今なお高い評価を受ける『ダークナイト』を、ぜひとも多くの方に観て頂きたいと思います。