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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20180421 『レディ・プレイヤー1』

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こんな げーむに
まじになっちゃって どうするの

 

映画『レディ・プレイヤー・1』を観てきました。
ネタバレを含むので、鑑賞予定の方は読むのをお控えください。

 

いや、超面白かったですよ。映画と漫画とアニメが好きなダメな30代オッさんに全力でオススメしたいです。


映画も一回見ただけじゃ拾いきれないほど、情報量が多く画面の密度が濃い作品です。ぜひ大画面で見ましょう。予告編だけでもけっこうお腹いっぱいになります。↓

https://youtu.be/BlTCXShunpI

 

 


約20年前…ワイヤーアクションとジョンウー映画と攻殻機動隊をまんまパクっておきながら、誰も観たことのなかった映像世界を表現した『マトリックス』に衝撃を受けたあの頃のオレ。


そしていま、デロリアンと金田のバイクとガンダムアイアンジャイアントがコラボするという、誰もが親しんだキャラたちによる、これまで実現しなかった夢の映画の誕生にまたも衝撃を受けるオレ。


おまけに中盤では超名作ホラー映画のパロディが丸々ブチ込まれるというチャンポンっぷり。カオスにして旺盛極まるこのサービス精神。
権利関係どうなってんだよ。(スピルバーグの権力あってこその承諾だったらしいです)


そして終盤ではオタクの少年がヴァーチャルワールドの神になり、みんなと力を合わせて巨悪を叩くという“おいコレって『マトリックス』と一緒じゃねーかよ”的な展開。
20年前の興奮ふたたび。ベタだけど燃えました。

 

さて、冒頭で伝説のクソゲーである『たけしの挑戦状』から引用させていただきましたが、今作は超人気ゲーム“オアシス”の創造主であるジェームズ・ハリデーの挑戦状が現実世界を巻き込む大事件へと発展してしまいます。

 

「このオアシス内に3つの鍵を隠したんだ。それらを見つけ出した者には財産56兆円をあげるよ。あとこのゲームの後継者にしてあげる」


なんて言いだすものですからそりゃもう一大事。ゲームに参加するプレーヤーは血眼で鍵を探し、ライバルゲーム会社は経営権獲得のために社員をフル活用して攻略情報を日夜模索します。

 

1つ目の鍵を手に入れた主人公は家を爆破されて武装集団に命まで狙われるハメに…さて、主人公とその仲間たちは、残りの鍵を見つけることができるのだろうか。


って話なんですが、ゲームのために現実世界で殺されかけるなんて、こんなクソゲーやってられっかよ。


序盤の見せ場であるレースゲームをクリアすると1つ目の鍵が手に入るのですが、コイツが超激ムズでして、正攻法ではクリア不可能という無理ゲーっぷり。それでもゲームをクリアすべく参加するプレーヤーに対し、底意地の悪い創造主の心の声が聞こえてきそうです。

「こんなゲームにマジになるなよ」という。

 

 

まぁこの映画を締めくくる最後の言葉が

「お前らゲームばっかやってないで現実を生きろよ」

という、仮想現実モノでよくあるセリフなんですよね。
身も蓋もなさ過ぎて、それを言っちゃお終いよ的な。


作り手が『オタクども現実に帰れよ』と言うメッセージを送り、非難轟々になった某エヴァ劇場版を思い出します。

 


実際、劇中でVRゴーグルをつけてドップリゲームにハマるプレイヤーたちのほとんどは少年少女か貧民街のダメな大人たち、あるいはオアシス陥落のためには殺人も辞さないライバルゲーム会社の社員たちでして、彼らを滑稽すぎるほどに滑稽に描くことで、それこそ

「こんな げーむに まじになっちゃって どうするの」

というたけしの挑戦状のフレーズが浮かんでくるのです。

 


ただ、この映画は別にオタク批判をしているとは思いませんでした。何せ今作を監督したスピルバーグこそが筋金入りの映画オタクであり、いじめられっ子で銀幕の世界に夢を見ていた少年であり、オアシスを創造したハリデーと重なるからです。


ハリデーは純粋にゲームとしてみんなに楽しんで欲しかった。ただ、想像以上に大ヒットしてしまったゲームは巨額の金を生み出す一大ビジネスとなり、プレイヤーは現実逃避のために人生をかけてゲームにのめり込み、作り手の意思からかけ離れたものになってしまった。


そして、一緒にゲームを作ってきた親友とは袂を別つハメになってしまった。


創造物/物語に対する純粋で深い愛…それを感じるからこそ、
何もかもが実現できるゲームの世界を愛しつつ、「それでも現実を生きろ」というメッセージが響くのです。
(いま思えば、庵野秀明もオタク批判をするつもりはなく、同じことを言いたかったのでしょうか)


いや、でもアンタが56兆円あげるよなんて言うからこんなに大混乱が起きてるんじゃねーかというツッコミはありますけど。


さて、この『レディ・プレイヤー・1』ですが、マジでとんでもなく面白いです。まさになんでもアリの超娯楽大作です。ぜひ見ましょう。


そして映画の幕が閉じ、劇場を出るとそこは現実世界です。映画は夢を見せてくれるからこそ、オレは現実と向き合えるのです。


来週は『アベンジャーズ・インフィニティウォー』ですね。
今からワクワクが止まりません。