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2021/08/15 何とかなった『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』

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鑑賞後は遺影にしか見えない

『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』(以下、『新スースク』)を観てきました。超サイコーでした。前作『スーサイド・スクワッド』(以下、旧作)の不満点が全て解消され、ヒーロー映画(ディズニーのマーベル映画)にはできない血みどろ娯楽作に仕上がってました。

 

以下、ネタバレしながら感想を書きます。

 

冒頭、いきなりカワイイ小鳥が死にます。早くも「ヌルいファンタジー映画じゃないですよ」という断りを観客に入れてきました。そのまま異常なテンポの良さで犯罪者たちによる特殊部隊『スーサイドスクワッド』は戦場に駆り出され、敵も味方もほとんどが無残な死に方をします。

 

「お前らこーいうのが観たかったんだろ?」と言わんばかりの血と殺戮の嵐。

「これだよ!これが観たかったんだよオレは!」と思わず応えちゃいましたよ。

 

R15指定に偽りなし。開幕からゴアシーン連発で、旧作とは違う仕上がりを観客に見せつけます。昨今では興行収入に響かないよう、血もバイオレンスも排したヌルいファンタジー映画ばかりが量産されていますが、こんなビッグバジェットの大作でド迫力の殺し合いが拝めるとは!血がたぎりましたよ。

 

まさに旧作を一新した作品となっております。この『新スースク』は旧作の続編ではなくリブートという位置づけになっており、ハーレイクインを含めて数人はキャストを続投しつつ、新しいストーリー展開で物語が再構成されています。余談ですが旧作、またスピンオフである『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』に登場するハーレイクインは、全て繋がりのない独立したキャラクターになっています。

 

面白いのはメインキャラもバンバン死ぬってところ。ただ単に悪趣味なゴアシーンを羅列するのではなく、だれが生き残るか分からない緊張感が『新スースク』の最大のスパイスになっています。

 

まぁウィル・スミスが続投しなくて良かったですよ。ウィル・スミスは絶対に死なないってわかるじゃないですか。今作を監督したジェームズ・ガンは、予め配給会社のワーナーから「誰を殺してもいい」って言われてたらしいので、そうなると大御所俳優はなかなか起用できないですよね(ハーレイクインを演じたマーゴット・ロビーは既に大御所と言えるでしょうけど)。

 

こういう思い切った路線変更は、『ジャスティス・リーグ』の失敗からシリーズの関連性を無くし、レーティングの縛りを捨てた今のワーナーだからこそできたのでしょう。ライバルであるマーベルシネマティックユニバース(MCU)には絶対に出せない”味”となっております。

theriver.jp

 

また、『新スースク』を監督したジェームズ・ガンは今作の企画立ち上げ当時、ツイッターでの過去の不適切発言を取り上げられてディズニーを解雇されていました(後に再雇用された)。今作が過剰なゴアシーンで彩られているのは、ディズニーに対する恨み節だと思っています。

「ディズニーとマーベルの重役ども!てめぇらみんな死ね!オレをクビにしたことを後悔させてやる!」

というジェームズ・ガンの思いの丈がスクリーンにブチ撒けられていますよたっぷりと。

 

唯一不満だったのが、キュートなエロカワキャラであるハーレイクインちゃんが劣化したってことですね。旧作から5年経ってますし、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』でもちょっと太ってメイクのケバさに辟易してましたけど、今作ではアクションが面白くなかった。『華麗なる~』では『アイ,トーニャ』仕込みのパワフルでダイナミックな蹴り技が炸裂しまくってたんですけど、今作は飛び道具がメインで”強カワ”っぽさが薄れた感がありましたね。凶悪ヒロインなのは間違いないんですけど。

 

逆に株が上がったのは旧作からキャスト続投しているアマンダ・ウォラー…スーサイドスクワッドを管理する非情の女ボスです。彼女の冷酷非情っぷりは旧作から全くブレてない。この映画で一番の極悪キャラじゃないでしょうか。オバハンが演じているからこその説得力があります。終盤、命令違反しようとするスースク全員を殺そうと、目を血走らせるシーンは必見です。

 

まぁそんなわけで、とにかくバイオレンス全開の作品なんですが、ちゃんと”マンガ映画”としての笑いとバカバカしさがギュッと詰め込まれているので、陰惨な印象はありません。デート映画としては不向きですが、夏休みの娯楽大作としてはイチオシです。


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