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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20180819 『GAFA』『健康の結論』『エロ漫画表現史』

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最近読んだ面白い本


その1

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』

(スコット・ギャロウェイ著 渡会圭子東洋経済新報社 2018)

 

4つの超巨大企業であるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの総称を、それぞれの頭文字を取ってGAFA(ガーファ)と呼ぶ…

そして著者であるスコット・ギャロウェイは、これら4つの企業を(畏怖を込めて)四騎士と呼ぶ…それはヨハネの黙示録に出てくる、『地上の人間を殺す権威』を持った存在である。


多くの人々は、GAFAから限りない恩恵を得ていることでしょう。


アマゾンで扱っていない商品はもはや存在しないし、ワンクリックで何でも手に入ります。分からないことは全能の神であるグーグル先生に質問(検索)すれば、必ず答えが返ってきます。


iPhoneは持っているだけでオシャレでクールだし(既にみんな持っている感は否めないですけど)、フェイスブックで『いいね!』欲しさに、ついつい充実した休日を“演出”してしまいますよね。

 

でもアマゾンはその利便性ゆえに多くの書店、雑貨店、CDショップを駆逐し、アップルが提供するサービスはiPhone本体を含めてベラボーに高い。iTunesiMovieiBooks Storeも、その価格設定はボッタクリと言ってもいいです(利益率8割って法外だろ)。


フェイスブックInstagramを含め、約25億のユーザーの行動パターンを把握していますし、グーグル先生はオレが日々どんなエロ画像を検索し、どんな性癖の持ち主かを知っています。


GAFAは我々のプライバシーと財布を丸裸にし、そしてその圧倒的なまでの繁栄ゆえに、いかなる企業も逆らえない。


多くの企業は只ひたすらに買収され、技術は盗用され、そして雇用は生まれない…仮に生まれたとしても、ごく一部が甘い汁を啜り、そして末端の99パーセントが農奴として、低賃金で搾取される『勝者総取り』の世界がGAFAによって作られていくのです。


繰り返しますが、多くの人々がGAFAの恩恵を受けていると思います。しかしその恩恵にあやかりつつ、たとえ抗う術が無いにせよ、「いつか身を奪い尽くされるかもしれない」という危機感を覚えることが重要なのです。明確な解決法は提示されなくとも、書物は往々にして「ただ知るということ」の大切さを教えてくれるのです。


旬のビジネス書なので、サラリーマンの方はぜひ。全編に著者の皮肉とユーモアがピリッと効いているので、退屈せずに読める本です。

 

その2

『健康の結論』

堀江貴文 著 予防医療普及協会 監修 KADOKAWA 2018)


ホリエモンの最新作。冒頭から

「僕は200年生きると決めた。」

というインパクトのあるフレーズが飛び出します。

 

ヒトが100年以上生きるなんて、今でもSFじみて聞こえますが、2016年に発売され、30万部を突破している『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』によれば、2107年の先進国の社会においては、医療技術の発達により、人口の過半数が100歳以上も長生きするのだそうです。


現時点でそんな推測がなされるなら、30年後には平均寿命が150歳になったとしてもおかしく無いでしょう。


これでは貯金はいくらあっても足りないし、人口爆発という問題も併発されるでしょうけど、我々は命を授かった以上は、自殺せず絶望せず、健康に人生を全うすべきなのです。


そんな寿命100年時代に向け、現行の医療サービスと知識で、『防げる死は防ぐ』と説く堀江氏。メンタルヘルスからガンの除去まで、あらゆる病気を退けるための指南書です。


「ってか、いちいち指図すんなよめんどくせぇ!好き勝手に生きて、好き勝手に死にてぇんだよ!」


というロックな方も多いと思いますが、大病患って半身不随で「アー」とか「ウー」とか言いながら小便すら自分一人じゃままならない寝たきり生活を送るより、たとえ100歳過ぎてなおコンビニ店員としてバイト暮らししたとしても、ボケずに健康で生きたいと思いませんか?


ってか、99パーセントの確率で生涯独身のオレとしては、ボケたり寝たきりになったりガンを患ったりしたらその時点で『ゲームオーバー』なので、絶対に『死ぬまで元気に生きていく』つもりなのです。
可愛い姪っ子のウェディングドレス姿も見たいですし。

 

その3


エロマンガ表現史』

(稀見理都 著 太田出版 2017)


二次元でシコる全ての人々に送りたい一冊。


乳首残像、触手、「くぱぁ」とか「らめぇ」といった独特な音響表現など、エロマンガの表現の黎明期を紐解く“学術書”です。


極めて真面目な書物なのですが、扱っている題材が題材だけに、本書で引用される資料も“大変に煽情的”でして、残念ながら北海道では『有害図書』扱いとなってしまいました。残念無念。


葛飾北斎が『タコとヤってる春画』を書いても、現代人からすれば猥褻どころか芸術(アート)扱いだというのに、みさくらなんこつ先生が『ふ◯なり美少女がアヘ顔ダブルピースする』絵を書いたら即アウトなわけで、エロい表現とは何とも扱い難いジャンルなのであります。

 

400ページ以上のボリュームかつ、お値段も約3000円と大変お高いですが、エロマンガを愛し、その独自の表現の変遷に想いを馳せる御仁(要するに変態)の方々は迷わず書いましょう。