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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20180222 『雑記』

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『人間が人間をいらないと排除し続ける世界の寂しさは、どこまでも広がっている。

(中略)

「アラトさんには、この全自動の世界が”くだらないもの”に見えますか?」』

 

2018年、日本のSF作家である長谷敏司先生の『BEATLESS』がアニメ化されたので、アマゾンプライムビデオで毎週観てます。


原作小説を読んだのは約3年前。全編合わせて約900ページの重厚なSF小説なので、アニメ化の一報を聞いた時は流石に「いや、無理でしょ」と。


超高性能美少女ロボットと少年のボーイミーツガールを装った本格SFアクション小説なのですが、アニメ版はキャラデザがred juice氏のデザインと違いますし、第6話にして早くも総集編発動(要するに息切れ)という…なんかイロイロ大丈夫かよマジで。


分割2クールでキチンと原作を全編映像化するらしいですが、さてどうなることやら。


SF小説はそんなに多くは読んでいないですが、想像力を養うためにオススメです。

 


さて、休日なのでハシゴして映画を観てきました。実に1ヶ月ぶりの劇場での映画鑑賞です。

 

まず一本目として、韓国映画の『悪女/AKUJO』を観てきました。
ニキータ』+『ハードコア』+『キル・ビル』みたいな超ド級バイオレンスアクション映画です。


日本じゃ絶対に撮影許可が下りないような過激なアクションが満載です。ヒロインのアクションのレベルはそこまで高くないですが、とにかく魅せ方が上手い。


全編FPS状態の新感覚アクション映画『ハードコア』に影響を受けた冒頭のアクションシークエンスは言わずもがなとして、後半のアクションシーンもワンカットで目まぐるしくカメラが動きます。


すぐお隣の国でこういう映画がそれなりの制作費で作られ、なおかつ本国でヒットしている現状を、素直に羨ましく思います。


韓国映画って低予算のヒューマンドラマは日本のソレとそっくりなんですが、大作映画に関してはどう逆立ちしても日本は勝てない。昨年公開の『新感染 ファイナルエクスプレス』とか、その主演であるコン・ユが同じく主役を演じた『サスペクト 哀しき容疑者』とか観たらビビると思いますよ。歯ぎしりしながら邦画のショボさを痛感すると思います。


和製ゾンビ映画である『アイアムアヒーロー』なんかは邦画にしてはレベル高いエンタメ作品だと思ったのですが、アクションシーンの大半は韓国で撮影されたらしいです。日本じゃ街中での派手なカーチェイスは許可が下りませんからね。


日本じゃ苛烈なアクションに撮影許可が下りない。そもそも観客がそんなの求めてない。そしてスポンサーも金を出さない。

 

いや、10年前までは『男たちの大和』や『日本沈没』みたいな制作費20億円越えのスペクタクル大作が何作も日本では作られていました。

 

最近は観客の趣向が変わったのか、スポンサーであるテレビ局が営業不振に陥っているのか、あるいは映画離れが加速しているのか、兎にも角にも、邦画は表現においても制作費においても、確実に貧しくなったと思います。


アニメや漫画の実写化にしかまともな予算が下りないなんて、クールジャパンとか言ってる場合じゃないと思います。

 

そんなわけで、もっと日韓合作で、なおかつネットフリックスやアマゾンプライムビデオがスポンサーになれば、世界にウケそうな邦画超大作ができそうな気がするんですけどねぇ…

 

こういうこと書くと過剰にアレルギー反応を示す方が一定数ネット界隈にいるわけですが、じゃあもうお前らLINE使うのやめろよ。


もはやインフラになりつつある日本での代表的なSNSツールは韓国企業のネイバーが作ったわけですからね。今でもLINEが日本産のアプリだと思っている方は多いですけど。


「日本の技術や文化は凄い」とか慢心しているうちに、気づいたらお株を奪われ、技術も文化も骨抜きになっているのが現状なのです。


まぁともかく、LINEの“日本産アプリ”としての成功秘話を克明に綴った『韓流経営 LINE』も読んでみるといいです。勉強になるので。

 

さて、もう一つの作品は『スリービルボード』です。
2月1日には全国公開されていたのですが、フィルマークスやその他の映画サイトでの高評価ぶりを見て、ようやく鑑賞に至りました。

 


娘を殺されて7ヶ月…未だ犯人が捕まらないことに業を煮やした母は、道路沿いの三枚の看板に、1年契約で広告物を載せる。その内容とは


『娘は殺された』
『なのに犯人は捕まらない』
『どうしてなの署長?』


温厚で町中から信頼を寄せられている警察署長を、広告物で大々的に非難したことで、片田舎の小さな町に混沌が訪れる…

 


…そんなお話なのですが、低予算の映画なので地味です。デートで見る類の映画ではないのですがおススメです。


観終わって、『殴り合って分かり合う』という感想が浮かびました。
侮蔑も罵倒も暴力もあって、お互いに首を絞めあっているのに、最後の最後で愛が勝つ…そんな作品です。


この映画はブラックコメディです。全編シリアスなトーンなのですが、どことなくユーモアが漂います。実際、とあるシーンでは場内で爆笑が巻き起こりました。


娘の死という凄惨な事件があり、善人は少なく、暗いドラマでありながら愛も可笑しさもある…そんな複雑で混沌とした内容に、素直に「面白かった」という感想を抱ける人は少ないかもしれません。


ただ、今一番の話題作なので、映画ファンの方はぜひ観ましょう。