タイムライン

9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20171126 『ジャスティス・リーグ』

f:id:strawdog48:20190115041202j:plain


爆死の美学‼︎


スーパーヒーロー映画『ジャスティス・リーグ』を観てきました。
ようやく…このシリーズの面白さが軌道に乗ってきましたよ。『ワンダー・ウーマン』並みにオススメできる作品です。


いちおうシリーズ作ですが、過去作にあたる『マン・オブ・スティール』や『バットマンVS スーパーマン』を未見の方でも問題ありません。むしろ予備知識なしで観た方が楽しめるかと。


しかしながら今作、既に50億円以上の赤字を出すことはほぼ確実視されているようで、ようやくクオリティが安定してきたところでもはや焼け石に水。続編やスピンオフの企画は当面先のようです。


どうあがいても大爆死…それでもどうせ散るならその華々しい末路を見届けようではありませんか。


叩いているようですが、実際ホントに面白く出来上がっています。映画館の大画面で見届けて頂きたい作品です。

 

 


洋の東西を問わず活発に行われ、そして当たり外れが大きいコミックの実写映画化…


我が国日本では伝説のクソ映画『デビルマン』を言わずもがなとして、昨今では『テラフォーマーズ』『ジョジョの奇妙な冒険』『東京喰種 トーキョーグール』が相次いで爆死。

 

記憶に新しいのは、前編は興行収入36億円で大ヒットしたものの、後編では16億円に失速した『進撃の巨人』シリーズ…興行的にはヒットこそしたものの、酷評に次ぐ酷評で、脚本を書いた町山智浩先生が「俺は悪くない」とか言い出す始末。見苦しいですよ先生。

 

銀魂』や『テルマエロマエ』『海猿』シリーズのようなヒット作の裏で、無数の駄作凡作失敗作が醜い屍を晒しているのです。まさに死屍累々。

 

25日公開の『覆面系ノイズ』は原作マンガは面白いんですが、肝心の映画版は初日からランキングトップ10圏外の大爆死スタートという…。

 

そんななか、貴重な”大ヒット作”にあたる『る◯うに剣心』シリーズが諸事情により続編製作どころか地上波放送もままならない事態になったのは悲しい限りです。

YES!ロリータ NO!タッチ

観てない方はぜひTSUTAYAでレンタルしましょう。マジ面白いです。


映画大国アメリカも例外ではなく、100億円近い損失を出した大爆死映画『グリーン・ランタン』や『ゴースト・イン・ザ・シェル』、3度も映画化したのにとうとうシリーズ化は叶わなかった『パニッシャー』、興行的にはヒットしていながら2作目で打ち切りとなった『アメイジングスパイダーマン』などなど…やはりコミックの実写映画化はハリウッドの力を持ってしても一筋縄ではいかないのです。

 


さて、ここで今回ご紹介したい『ジャスティス・リーグ』の、企画発足から公開までの一連の流れを軽くご紹介しましょう。

 

『マン・オブ・スティール』『バットマン VS スーパーマン』(略して『BVS』)『スーサイド・スクワッド』『ワンダー・ウーマン』『ジャスティス・リーグ』…これらの作品は全て同じ世界観を共有しており、このシリーズを『DCエクステンデッド・ユニバース』(略してDCEU)と呼びます。


世界的に大ヒットしたヒーローチーム映画『アベンジャーズ』をシリーズの核とした、マーベルヒーロー映画作品群である『マーベル・シネマティック・ユニバース』(略してMCU)に対抗し、映画配給会社のワーナー・ブラザース


「俺たちもDCコミックスのヒーローシリーズを作って荒稼ぎするぞ!」


ということで企画されたシリーズが上記のDCEUなのです。
アメコミ出版社の二大巨頭であるマーベルとDCコミックスMCUがヒットした以上、遅かれ早かれDCEUは企画されていたに違いありません。


しかしながらDCEUはMCUに比べると、総じて完成度が低いというべきか、見劣りします。
まぁ身も蓋もないことを言えばMCU のパクリ企画なので二番煎じ感は否めず、後述する『スーサイド・スクワッド』の駄作っぷりも相まって、シリーズの面白さに関しては「MCUに遠く及ばない」という印象です。


いちおう、興行収入では『ジャスティス・リーグ』を除いてどれも”大ヒット”してはいるのですけどね。

 

シリアスもコメディもサスペンスも盛り込み、バラエティに富むMCUに対し、DECUは「大人向けのシリアス路線で行くぞ!」とばかりにどれも終始重苦しい作風となっています。

 

まぁシリーズ第一弾である『マン・オブ・スティール』の公開当時は、硬派な作風で全世界でメガヒットを飛ばした『ダークナイト3部作』が記憶に新しく、笑い一切無しのシリアス路線をそのまま受け継いだのは無理もありません。


しかしながら、リアルドラゴンボールと言えるような荒唐無稽CGアクションが延々と展開されるのに、一ミリも笑いもユーモアも挟まない生真面目すぎる作風は、重厚というよりただただ、重苦しい…只でさえ長い2時間24分の上映時間は、余計に長く感じるのでした。


続編の『BVS』では、スーパーマンの活躍の下でビルの瓦礫に押し潰される人々を描き、アクションの爽快感より「スーパーヒーローのジレンマ」を前面に押し出すものですから、辛気臭さにますます拍車がかかります。

 

しかも『派手だけど何やってるのかよくわからないアクションシーン』も大いに不満でして、この辺もMCUに比べて見劣りする要因でもあります。

 

奇しくもその2ヶ月後に公開されたMCUの『キャプテン・アメリカ シビルウォー』は全く同じテーマを扱っているのに、その重すぎず軽過ぎないストーリーテリングの巧さは、シビルウォーに軍配が上がります。

 

 

窒息するほど重苦しい作風にウンザリしつつ、ここで心機一転!とばかりに作られた『スーサイド・スクワッド』には、大いに期待していました。


極彩色の予告編をYouTubeで何度も見つつ、セクシーなヒロイン、極悪犯罪者がルール無用で暴れまわる痛快アクションを心待ちにしていたオレは、公開初日に観て完膚無きまでに心を打ち砕かれました。


「どうしてこうなった」と思わず呟きたくなるほどのつまらなさ。初見なのに何度も睡魔に襲われました。


フツーなら特殊能力を持った極悪異能犯罪集団たちが倫理を無視して大暴れするプロットなんてよほどのことがない限り面白く作れる筈なのに、蓋を開けてみればハーレイ・クインのケツ以外何一つ見所のない駄作だったのでした。

 

「もうDCEUには期待できない…」

 

落胆しつつ匙をブン投げた俺の耳に、本国アメリカでの『ワンダーウーマン』の高評価が届いてきたのは半年ほど前のこと。


「いや、でもDCEUだし、もう挽回は無理じゃね?」とか思いながら封切り日に見て驚愕。なにこれ面白いじゃん。相変わらずテンポ悪いけど。


本編の評価を爆上げしているのが、ワンダーウーマンを演じる主演のガル・ガドットの圧倒的な美貌です。この人無しには絶対にこの映画は成功しなかったと言えるでしょう。


ガル姉さんマジでカッコ可愛い。画面に映るたび、いちいち映える。
『BVS』でのケツアゴ&胸毛の濃いおっさん同士のどつき合いに少々胃もたれしていた身としては、可憐で勇ましくて慈愛に満ちたガル姉さんの勇姿に終始釘付けでした。来月にはレンタル開始なので、皆さまぜひ見ましょう。

 

さて、ここまで延々とDCEUの『ダメダメな』変遷を語って来ましたが、ようやく満を持して最新作『ジャスティス・リーグ』が先日23日に公開です。永かった…長すぎて既にウンザリしている読者もいることでしょう。


制作サイドもようやくシリアス路線では万人に響かないと悟ったのか、軽快爆速スーパーヒーローのフラッシュがコメディリリーフとして、作品に『軽いノリ』を与えてくれます。


そして今作は200億越えの制作費をかけた超大作映画としては珍しく、正味2時間の尺に収まっています。
ザクザクと小気味よく編集された本作は重過ぎずテンポも良く、DCEUにしては初めて肩の力を抜いて楽しめます。


ネタバレですが、予告編で使われたシーンの大半がカットされ、本編で使われていません。そのくらいバッサリと短く編集しています。


この掟破りのハイスピード編集を行った人物が何と、かつて『アベンジャーズ』の脚本&監督を担当したジョス・ウェドンという人物です。


ライバルであるMCUの監督の手腕により、結果的にDCEU史上もっとも面白い作品ができたというのは皮肉の極みでしょう。でもカネ払って観る観客としては、面白けりゃアリなのです。


ちなみにこの『ジャスティス・リーグ』には、ボツとなった3時間バージョンが存在するらしいです。おそらくそれは来年くらいにBlu-rayエクステンデッド・エディションとして販売されるでしょう。今から楽しみです。


そんなわけで、既に大爆死確定のジャスティス・リーグをぜひIMAXでご鑑賞下さい。


既に手遅れ。待った無しの大爆死。でも死んで花実が咲くものか。


スターウォーズ 最後のジェダイ』に興味のない方は、是非ともスーパーヒーローたちの骨を拾いに行っていただければ幸いです。