20171104 『マイティ・ソー バトルロイヤル』
33歳になりました。ゾロ目です。
リーチかかってますね。いろんな意味で。
オッサンだしそろそろ家庭持って
「I am your father.」
(『スターウォーズ』の定番ネタ)
とか息子に言ってる自分を柄にもなく想像したのですが、そもそも結婚する気が全然無いので、その2秒後には
“嫁の顔が『シャイニング』”
というフレーズが浮かびました。大人しく『タクシードライバー』のトラヴィスみたいにひとり黙々と筋トレします。(モヒカンにはしません)
さて、御多分に洩れず、今回もまた映画の話です。来年こそは映画以外のネタを増やそうと思います。
笑撃の『神』映画‼︎
『マイティ・ソー バトルロイヤル』を観てきました。
『マイティ・ソー』シリーズ史上最高に楽しい作品だったのですが、例のごとく予習が必要な作品となっています。
マーベル・シネマティック・ユニバース…略してMCU
アイアンマンやキャプテン・アメリカなど、スーパーヒーローチームである『アベンジャーズ』を構成するメンバーたちの映画シリーズです。
2008年の『アイアンマン』からスタートしたMCUシリーズも何だかんだと17作目…今回は『マイティ・ソー』単独作品の3作目に当たります。
今回はゲストにアベンジャーズメンバーであるハルクが参戦して、大いに暴れてくれます。
ソーとハルク…スクリーンに登場するのは実に2年ぶり、MCU作品では6作ぶりです。
実質、『アベンジャーズ2.5』であった『キャプテン・アメリカ シビルウォー』では過去作のほとんどのヒーローが参戦しつつ、ソーとハルクだけハブられてました。
超絶強いのにこの出番の無さ…それは『強すぎるがゆえにパワーバランスが崩壊する』という悲しきジレンマがありました。
アズガルドの神であるソーと、巨大な怪物であるハルクはもの凄く簡単に表現するならば、”ほぼ死なないしメチャクチャ強い”というもので、コイツらが活躍し過ぎると
「アベンジャーズのメンバーって、ソーとハルクだけでよくね?」
ということになってしまうため、意図的に出番が減らされているのです。
例えば『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』では敵の術中に嵌ってハルクは暴走し、中盤は『謹慎処分』扱いになります。
ソーもまた「ちょっと他の惑星で調べ物してくるわ」とか言って終盤ではチームから”脱退”します。また、中盤でも”外出”しており、スクリーンにあまり映りません。
もちろんこの二人にも見せ場はあるのですが、その超火力ゆえに対デカブツやザコ薙ぎ払いに特化した、『必殺技』扱いされます。まぁそういう措置を取らないと、ブラック・ウィドウとかホークアイの見せ場が無いですからね。
せっかくのスーパーパワーを持て余し、燻る二人…いかんせん『主役サイドが強すぎるとつまらなくなる』、あるいは話が作りづらくなるのです。
超絶強すぎて全くドキドキハラハラせず、見終わった後は
“ニコラス・ケイジの頭髪しか覚えていない”『ゴーストライダー』シリーズなんかはいい見本です。
ただ、誤解しないで頂きたいのは『主人公が強すぎる映画』ってのは昔から存在します。ただ、成立させるのが難しいからあんまり作られないだけの話です。しかしながら、これが上手く作られるとサイコーにスカッとするアクション映画になります。
例えばテレビ放映されるたびにネットで盛り上がるシュワちゃん主演の『コマンドー』(吹替で観ると最高です)
銃で撃たれたのに「貫通しているから被弾したうちに入らない」とかよく分からないことを言いつつ、謎の拳法で敵をテキパキ虐殺する無敵のセガール映画『暴走特急』(クッソ面白いです)
最近では”一見弱そうな中年のサエないおっさんが実はメチャクチャ強い”という、ギンティ小林氏が言うところの
”ナメてた相手が、実は殺人マシンでした!”
設定の『96時間』『イコライザー』『ジョン・ウィック』など…。
「80年代〜90年代は愛と勇気と筋肉と東洋の神秘が全てを許した。そういう時代だった」
という世間の空気もありますし(嘘つけ)、主人公が人間なら、『ひょっとしたら死ぬかも』という緊張感が話に(ほんのちょっとだけ)リアリティを持たせます(セガール映画は除外すべきですけど)。
また、主役が人智を超越した『人外』なら、それ相応のボスキャラか、『縦横無尽に暴れても問題ない世界観』を与えてあげればいいのです。
これに失敗すると『2時間ずっとゴジラが街を蹂躙するだけ』みたいな映画が出来て、話に起伏が無く、緊張感が持続しないのです。
それはそれで観てみたい気もしますが、100億200億かけて、いまどきそんな企画が通るはずがありません。
実際、マイティ・ソーは一作目こそ『キャラ紹介』のために作られましたが、2作目は舞台を地球外に移したり、規格外の悪役を出現させたりして、本人の『神スペック』を十全に発揮する舞台設定を与えています(絵面的に面白いかどうかは別ですが)
ところが残念なのはハルクで、このキャラ自体が一発放てば全てが塵芥と化す大量破壊兵器みたいなもんで、オリジンに当たる『インクレディブル・ハルク』以降は単独映画が作られていません。地球で暴れるハルクの話なんて、それこそゴジラ映画みたいなものでしょう。
ソーとハルクにとっては、地球上での戦いはスケールが小さすぎでした。今作ではイキイキとして、別の惑星で暴れまくります。
また、『マイティ・ソー』一作目から描かれてきたソーとロキの熾烈な兄弟ゲンカは当然ながら今作でも描かれます。
憎しみあい、反目しては衝突し、一時的に共闘し、改心したかと思えば裏切り、そして罵りあいながらも息の合った協力プレイ(そして漫才)を見せてくれます。
マイティ・ソーは神々の世界を舞台にしつつ、MCUシリーズで最も『家族愛』に溢れた人間臭い作品だと思います。
しかも今作はこれまでに無いほどコメディパートが多く、ド派手な無双アクションを堪能しつつ、ゲラゲラ笑って楽しむことができます。某ハリウッドスターが意外なところでカメオ出演し、劇場では爆笑が巻き起こりました。
この秋の娯楽大作として超オススメです。
とは言え、今作は過去のMCU作品の多くを鑑賞しておかないと理解できないシーンが多く、これ単品では楽しむためのハードルは高いです。
最低でもマイティ・ソーシリーズである『マイティ・ソー』と『マイティ・ソー ダークワールド』は必須として、全ての登場人物と細かいギャグを理解するためには
『アベンジャーズ』
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』
『インクレディブル・ハルク』
『ドクター・ストレンジ』
も抑えて欲しいところです。
さらに今作のノリや作品のカラーは完全に『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』シリーズを踏襲しています。
今作と直接の関連は無いのですが、余裕があればこのシリーズもぜひ。
※追記…『インクレディブル・ハルク』は制作会社の権利関係でシリーズは『作れない』らしいです。無知でした。
まぁコケてるので作らなくても良いかと…