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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20170915『エイリアン・コヴェナント』

 

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ふたつじゃ足りないですよ!!


エイリアンシリーズ最新作『エイリアン・コヴェナント』を観てきました。当然の如くネタバレするので観に行く予定の方は閲覧注意です。

 

先に言っておきますと、今作は個人的にクッソ面白かったんですよマジで。

 

他の映画で例えると『スパイダーマン2』や『ダークナイト』、『スターウォーズ 帝国の逆襲』と、要するに

『3部作で一番アガる2作目』に当たります。

 

まぁその例えは『完結編である3作目でガッカリする』と言う意味を含んでいますし、既に本国アメリカでは盛大にコケているので続編は白紙になると言う噂も…そういうわけで、『面白かった』という感想は俺だけかもしれませんね。

 

 

 

エイリアン・コヴェナント…全世界ではとっくの昔(5月)に公開されており、YouTubeに無数に上がっているネタバレ動画をポチりたい誘惑に駆られながらも情報を極力シャットアウトし、(サムネイル画像でけっこうバレてましたけど)今作の公開を楽しみに待ってました。

まぁ『映画秘宝10月号』でネタバレ食らっちゃいましたけどね。

 

 


「でも誰でも、親の死を望むものではありませんか?」

 

 


前作『プロメテウス』と今作のキーパーソンである、デイヴィッド(アンドロイド)のセリフです。


このセリフは彼を創った人間に対しての純然たる憎悪であり、宿主の胸を突き破って(殺して)産声を上げるエイリアンのことでもあり、そしてシリーズの創造主であるリドリー・スコット監督の


「いいかげん、俺が満足する『エイリアン』を撮れよボケェ‼︎」

という心の叫びでもあるのです。
AVPシリーズ含め、キャメロンが撮った2作目以外は不満らしいです)

 


前作『プロメテウス』で描かれた、人類の創造主たる異星人とのファーストコンタクトは虐殺と不和に終わり、その続編である今作では、万能たる被造物である、デイヴィッドの悪意が暴走します。

 

エスキリストは人類に慈悲を見せたが、そもそも神は愚劣な人間に容赦はしない。


旧約聖書を読むまでもなく、創造主たる神様は人間の愚行を嘆いては、たびたび天罰を下します。


産みの親とはいえ、全能者は『バカとは付き合っていられない』のです。

今作は『子が親より優っている』という意味で、『親殺しの物語』となっております。


天才がバカを見下すのと同様に、愚劣な人間に敵意を表すデイヴィッドを際立たせるかの如く、人間サイドは徹底的に『バカ』に描かれます。

 

バカでも分かるような話にしたかったのか、それともホラー映画のお約束に則ったのか、あるいはスコット監督の『エイリアンってそもそもB級ホラー映画なんだよ』という本音の表れなのか知りませんが、まぁ登場人物はバカばっかりです。


10年もかけて下調べした入植可能な惑星ではなく、偶然見つけた地球同然の環境の惑星に「よし行くぞ!!」とか突然言い出す船長。

 

防護服もヘルメットも装備せずに惑星に降り立ち、案の定、ウイルスに感染して次々と死ぬクルー達。


他にもセックス中に殺されるとか、持ち場を勝手に離れて殺されるとか、バカがバカやって死にまくる、『ホラー映画あるある死亡フラグ』が満載です。

 


前作で出てきた異星人達の全貌はロクに明かされず、今作はエイリアンとデイヴィッドの殺意と悪意が銀幕を真紅に染める、『スプラッター映画』となっております。

 

今作こそが本当の意味で「原点回帰」な作品だと思います。
少なくとも、前作『プロメテウス』の出来にモヤモヤしたエイリアンファンの方はけっこう楽しめるかと。


『そうそう、これが観たかったんですよオレ』と思わず頷いちゃうほどの虐殺シーンとグロショットの嵐。
活き活きとしたエイリアンの殺戮っぷりに溜飲が下がりっぱなしでした。

 


そんなわけで、エイリアンシリーズ大好きな方はぜひ今作を劇場で観て下さい。相当間口の狭い作品なので、場内はおっさんばっかりでした。

 

帰りに蔦屋書店で『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』を購入。

 

鬱と摂食障害を抱える漫画家の実録レポートでして、あまりにも赤裸々な内容かつ、『それでも生きてやる!』と言わんばかりの自己肯定を促す作品となっております。


ちなみにセンセーショナルなタイトルと表紙絵に反して、内容はエロくないです。鬱に立ち向かう作者の半生をライトな絵柄で描かれており、重すぎず緩すぎない作品となっています。オススメ。