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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

20170818『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

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☠️WARNING‼︎‼︎☠️

 

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のネタバレを含みます。映画を楽しみにしていらっしゃる方は本編を観てからお越しください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ボーイ・ミーツ・ガール。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観て来ました。

 

正直、この映画に関しては叩くつもりでした。


君の名は。』以前から始まったプロジェクトにもかかわらず、封切り1ヶ月前に予定されていた試写会に納期が間に合わないという制作会社の遅滞ぶり。


全国公開1週間前にようやくこぎつけた試写会に置いては不評の意見が目立ち、映画批評サイトである『フィルマークス』での評価も5点中3点未満と、『万人受け』には程遠い点数でした。

 

…で、実際この映画を観た感想ですが、


『正直、悪くない』でした。というか、心地良すぎてずっと観ていたいと思うくらいでした。観ていてずっと頭の中を巡っているのは、

 

あぁそうか、『秒速5センチメートル』を全国拡大ロードショーしたら世間はどういう評価を下すか。

 

そんな想像でした。そりゃ叩くだろうよ。


映画『君の名は。』で一般層に大ブレイクした新海誠監督ですが、それ以前の作品はどれも悪く言えば『人を選ぶ作風』でして、オリジナリティとか作家性ってのは間違いなく商売する上では足枷でしかない。


『童貞臭い気持ち悪い自己陶酔アニメ』なんですよ。そもそも新海誠監督の作品ってのは。

 

ただ、それが一部のアニメファンを強烈に惹きつけ、熱狂させたのは事実であって、TSUTAYAで『秒速〜』をレンタルしては通算30回以上観たのは事実ですし(じゃあ買えよ)、栃木の岩舟駅に2度も聖地巡礼させるほどオレを『洗脳』させたのも嘘偽りない真実です。

 

今作の『打ち上げ花火〜』も御多分に洩れず、シャフトのクドい映像表現に一般層は付いていけないのも頷けますし、後半の明らかな話の破綻っぷりに、『君の名は。』のような分かりやすい話を期待した試写会での観客が、置いてけぼりにされたのも無理はないと思います。


ただ、後半の明らかな破綻(説明不足なのは否めません。基礎知識として、『ラン・ローラ・ラン』や『バタフライ・エフェクト』を観てから鑑賞すれば良いかと。そんなことを観客に強要する時点でエンタメ失格ですけど。)を、オレは『ファンタジーへの昇華』だと思いたいのです。


タイムリープとか不思議な石とか、花火は丸いのか平べったいのか、そんな瑣末なことを全て棄て去り、かなぐり捨て、目の前の『魔性の女』に虜にされる…ただ1つのメッセージのために、作品が『暴走する』瞬間。

 

ボーイ・ミーツ・ガール。

 

『一夏の恋物語』がファンタジーでなくて何だと言うのか。

 

正直、下着姿こそあれ、これほどサービスカット無しにヒロインの『艶かしさ』を堪能できる作品はそうそう無く、これこそ日本のアニメの真骨頂、『実写じゃできない表現』を銀幕に叩きつける瞬間だと思うのです。二次元万歳。生身の女とかいらねぇよ(本音が出た)


そんな気持ち悪い感想を述べつつ、それでいて不思議な話ですが、今作は一般層とアニオタの中間をギリギリ許容できる範囲で観客を狙いつつ、きちんと『鑑賞に耐えうる』均衡を保っていると思っています。


一般層とアニオタの両方を取り入れようとして、見事に瓦解した『心が叫びたがっているんだ』に比べれば、後半の説明不足は除いても、映像にまとわりつく『気持ち悪さ』が『作家性』として昇華されていると思っています。

 

結局、どっちつかずに終わるより、『ややどちらか』にバイアスがあった方が結果的に『バランスが取れる』と俺は思っています。

 

少なくとも、わざわざ劇場まで足を運んだ『傷物語』三部作全編に散見される一般層ドン引きの『気持ち悪い』絵作り(それでも『冷血編』のラストバトルには血が騒ぎましたけど)は、今作ではフツーのお客さんが鑑賞に耐えうるレベルまでコントロールされてますし(川村Pの手腕だと思いますけどね)、散々叩かれてる広瀬すず菅田将暉の『棒演技』は悪くないです。


あれで悪いなら篠田麻里子が吹き替えた『TIME』とか観てくださいよ。BD1週間以内に売ったよマジで。

 

あれこれ言ってますが、『BDを確実に購入するであろう作品』であることは間違いないです。そして、また観たいと思える作品です。


万人受けする作品という意味で、『君の名は。』に遠く及ばないのは事実でしょうけど。

 


さて、明日はニコタマで打ち上げ花火ですね。今年は仕事で観に行けません(泣)


※追記…書いてて自分で気づかなかったのですが、勘違いされてる方もいるかと思うので一応…


今作は新海誠監督の作品ではないです。宣伝の仕方が『君の名は。』っぽいのでミスリードされそうですが、全く違う作品です。念のため。