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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

2019/10/08/『ジョーカー』

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Twitterとインスタと株をやってたら2ヶ月も更新を怠ってました。すみません。

 

 

なんかブログ放置中に坂口拓さんがテレビで注目されて、狂武蔵の記事(https://strawdog48.hatenablog.com/entry/2019/01/12/192254)が注目されてアクセス数が跳ね上がる珍事がありました。ありがとうございます。

 

 

 

まぁともかく…

 

 

 

映画『ジョーカー』を観ました。度肝を抜かれました。

何せアメコミを題材にしているのはあくまで製作費を捻出するためであって、製作陣がやってることは『タクシードライバー』であり『キングオブコメディ』であり『フォーリングダウン』だったのですから。

 

 

要するに往年の“反社会的映画”の再映画化であり、孤独と社会によって壊れていく個人を描いています。

 

 

そんな映画が大ヒットしては賛否を呼んでいるこの現象が素直にオレとしては“楽しい”わけで、同時に“救われた感”があります。こういう映画が今なお(むしろ今だからこそ)受け入れられている、誰かがこういう映画を求めていたということに。

 

 

 

そんな不謹慎な感想が出るわけですが、それは何もアタクシが反社会的なことを目論んでいるわけでも何でもなく、この『ジョーカー』の元ネタである『タクシードライバー』が大好きだからなのですよ。もう50回以上観ています。

 

 

 

タクシードライバー』…マーティンスコセッシ監督&ロバートデニーロ主演の名作ドラマ。実際に映画に触発されて銃撃事件が起きたことでも有名な作品です。

 

 

 

孤独で不眠症に悩まされる主人公トラヴィスタクシードライバーの仕事に就いて、昼夜問わず働きます。

 

 

タクシーのガラス越しに映るのはヤク中やゴロツキや売春婦、あるいはリア充カップルばかり。

 

「アイツらを洗い流す雨はいつ降るんだ?」

 

なんてボヤくトラヴィスですが、本当は誰よりも温もりやセックスを求めているのです。

 

 

そんなある日、トラヴィスはふとしたことから美人の女性とデートするチャンスを得るのですが、何故かポルノ映画に誘い、当然ながらフラれます。

なんでそんなことをしたのか理解に苦しむわけですが、一方的に女性に失望したトラヴィスは銃を買って暴力事件を起こしてしまうわけです。

 

 

…なんてあらすじを書くと「ナニその映画イミ分からん」というリアクションを受けるワケですが、ホントにそんな映画です。初見はオレも「…ハァ?」とか思いましたけど、何度も観るうちにこの映画に“癒されていた”のは事実です。

 

 

というのも昔のオレは鬱病気味でネクラで自分に自信が無く、部屋で暗い曲や映画ばかり好んで鑑賞していました。Syrup16gとかTHE BACKHORNとかART-SCHOOLとかムックとか聴いては、「死にてぇ死にてぇ」言ってました。ホントに。

 

 

落ち込んでいる時には、悲しい曲を聴いてトコトン暗い気分に浸った方がスッキリすることがあるわけですが、まさに その時にお世話になっていた映画が『タクシードライバー』だったわけですよ。ビデオもDVDもブルーレイも買って、今はアマゾンプライムビデオで観ています。

 

 

あ、もうネクラは脱しました。念のため。

 

 

 

 

それだけ『タクドラ』に思い入れがあるアタクシですから、『ジョーカー』を観て戦慄した若い映画ファンがアマプラやNetflixで『タクシードライバー』や『キングオブコメディ』といった“元ネタ”に触れてくれるのが素直に嬉しいです。

(今作の監督が『タクドラ』や『キンコメ』に影響を受けたことを公言しています。)

 

 

 

さて、映画が過激で凄惨な内容ゆえに模倣犯が出ることをアメリカのメディアが懸念していますが、こういう“不謹慎な”映画が全世界で公開され、商業的にも成功を収めているという事実をどう思うか。

 

 

今作は暴力と狂気ばかりが注目されているわけですが、歪んだ社会に怒りをぶつける“政治的”な映画です。

そして現在も日本で大ヒット公開中の『天気の子』だって、単なるボーイミーツガールの物語ではなく、子どもが社会と対立する“過激な”話なのですよ。

 

 

天気が狂った社会…大人たちが温暖化を起こして狂わせた社会なんかより、自分にとって本当に大事なものを選ぶ…猛暑や水害で日本がメチャクチャになったって知ったことか!

 

 

そんな“過激な”映画が立て続けに公開されては賛否を呼ぶ世の中に生きているわけですよ。しかもどちらも大ヒット中。ますます狂ってきてますよね、この社会は。

 

 

あ、当然ながら中国では『天気の子』も『ジョーカー』も未だに公開されていません(いちおう公開予定ではあるらしいですが…)

 

 

 

とまぁ少々話題が逸れましたが、いま話題の『ジョーカー』を観て、もしも共感を覚えるのであれば、その孤独と狂気を反芻して、今を生きるための拠り所にしていただければいいと思います。

 

 

決して燃やしたり撃ったり壊したりしたらダメですよ。破壊衝動に駆られたら、またこの映画を観ればいいと思います。

 

 

タクシードライバー [Blu-ray]