タイムライン

9割は映画、たまにアニメや本の感想。

2019/11/07『IT / イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』

f:id:strawdog48:20191107175011j:plain

 

先日35歳になりました。しばらく酒飲んでませんでしたけど、誕生日には1人で祝杯をあげました。
実りの多い一年を送りたいと思います。

 

まぁともかく…

 

映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』を観てきました。少年時代編である前作が結構好みでしたので、当然ながら完結編も期待して観に行ったのですが…まぁ3時間のお化け屋敷でしたね。長いし、ワンパターンのビビらせ方をするので慣れてしまいました。くどいようですが、前作は良かったです。少年少女たちの愛と勇気と友情が、邪悪に打ち勝つ青春モノでしたから。

 


映画『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』予告編

 

 

ただ、女子高生や若い子たちがみんなでキャーキャー言いながら鑑賞するのは楽しいでしょうし、4DXや発声上映なんかではメチャクチャ盛り上がるでしょうね。制作側もその辺を狙って作っているんじゃないかと思います。ホラーというよりはアトラクション型の作品です。ただ、女子高生がワイワイキャーキャーやるには、3時間の上映時間は長すぎるんじゃ無いかと思います。


しかも今作の監督は2017年に公開された前作とセットで、さらに新たなシーンを追加して6時間半の“完全版”も作る気らしいです。原作小説がクソ長いので、アレやコレやと原作のエピソードを入れたい気持ちも分かるんですけど、『ロードオブザリング』じゃないんだから…↓

https://theriver.jp/it-supercut/

 

邪悪なピエロが子供たちを次々と襲う…そんなシンプルなプロットである今作は、『13日の金曜日』シリーズや『悪魔のいけにえ』のような”モンスター”映画です。先に挙げた映画のジェイソンやレザーフェイスのように、どれだけ殺人モンスターのキャラが強烈かどうかで作品の良し悪しが決まる作品群であり、日本で言う貞子(『リング』シリーズ)や伽耶子(『呪怨』シリーズ)がこれに当たります。


ちなみに今でこそ善玉扱いのイメージが強い『ターミネーター』シリーズのシュワちゃんですが、一作目では打たれても刺されてもしつこく主人公たちを殺さんと追いかけ回す冷酷無慈悲な殺人マシンでした。そして皮膚がぼろぼろになって機械の中身が徐々に露わになっていく描写は極めて恐ろしく、SFアクションでありながら、同時にホラー映画でもあったと言えます。

 


『IT/イット』はホラーでありつつも『スタンド・バイ・ミー』のような青春物語の要素を併せ持っており、制作側が登場人物のエピソードを一つ一つ丹念に描きたかったのは重々分かります。でもあくまでプロットは”殺人ピエロとの鬼ごっこ“というシンプルなものなのですから、あれこれ盛り込みたい気持ちをグッと抑えて2時間に収めてほしかったですね。
何せ大多数の観客が求めているのは30年も昔に描かれた原作に忠実であるかどうかより、ペニーワイズが暴れまくる姿なのですから。

 


しかしながらこれでペニーワイズが退場してしまうのはちょっと惜しいですね。何せ『ジョーカー』のおかげで世界はピエロ恐怖症になってますし、21世紀を代表するホラーキャラの1人になれるんじゃないでしょうか。


ぜひとも日本のホラー業界とタイアップして貞子や伽耶子とコラボしてほしいですね。って、そりゃギャグか。


まぁ恐怖と笑いは紙一重です。詳しくは最近『Diner ダイナー』が映画化されたホラー作家、平山夢明先生が書いた『恐怖の構造』を読んでみるといいです。

 

恐怖の構造 (幻冬舎新書)

恐怖の構造 (幻冬舎新書)