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9割は映画、たまにアニメや本の感想。

2021/08/03 『パンケーキを毒見する』

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”毒味”じゃなくて”毒見”です。

第99代内閣総理大臣菅義偉を追った”政治バラエティ映画”『パンケーキを毒見する』を観てきました。公式パンフレットによれば、今作は”政治ドキュメンタリー”ではなく”政治バラエティ”とのことで、笑えるシーンは多いです。菅政権を茶化すようなアニメーションやナレーションが随所に入り、政治に関心のない客層にも楽しく鑑賞できるように作られています。


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今作は以前から観ておきたかった。Netflixで『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観てから政治ドキュメンタリーに関心が高まっていた矢先に、映画評論家の町山智浩さんが今作をツイッターで紹介していたので、わざわざ渋谷まで足を延ばして観に行きましたよ。

 

何せ菅政権を批判する内容ですし、今作の公式ツイッターは何度か凍結されてます。わずか全国で19館でしか上映されていない今作は、政治的な圧力でいきなり上映打ち切りになるかもしれないわけですから、何が何でも観ておきたかったのですよ。

 

ここに一番の問題があって、政治に関心のない若者に観てほしくて監督はこの映画を作っているのに、その客層にこの映画が物理的に届かない。テレビ局にも政治的な圧力がかかっていてテレビCMも流せないのですから。映画ファンですらそもそもこういう映画に食指が動かないでしょうし。

 

まぁ『新聞記者』や『なぜ君は総理大臣になれないのか』がNetflixで配信されたように、半年もすれば動画サブスクで多くの人の目に届くと思います。それが即座に投票に繋がるわけではないでしょうが、まずは映画を観てもらうこと…それが始まりでしょう。

 

酒もタバコもやらず、早朝の散歩と腹筋運動を欠かさない菅総理。官僚の家系でもなく、段ボール工場での就職を経て政治の世界に飛び込んだ叩き上げの苦労人。

そしてパンケーキ大好き…若いコにウケる要素は多分にあるし、実際、菅内閣発足時の内閣支持率は65パーセント以上だったし、この人ならコロナから国民を救ってくれると信じた人は多かったのでは?

 

それが国会中継では書かれた文書を読み上げるだけ。野党からの質問に対してはまともに答えずに逃げ続けるだけ。以前オレが勤めていた会社にもこんな上司がいたけど、質問に対してキチンと答えない上司は信用するに値しないですよ。だから会社を辞めたんですけどね。

もちろん、運動を日課とする菅総理がモーロクしているハズが無いわけで、意図的にこういう態度を取っているのは明白なのです。

 

「こうした答弁を続けることで、国民の政治に対する関心が失われることを狙っているのでは」と答えるのは法政大学の上西充子教授。この映画にも登場しています。

 

確かにこの”作戦”は成功していると言えます。高い税金を納めている東京都民が、コロナ禍でいちばん世間から疎まれているというのに、7月4日に行われた都議選での投票率は42.39%…過去2番目の低さだそうです(NHKニュースより)。

 

普通ならこれだけ国民がナメられていたら、僕らは怒り狂って積極的に投票をするはずなんですが、この国ではそうはならない。いまだにワクチンを接種できない若い人は多く、医療は崩壊し、国民は自粛を強いられ、その一方でオリンピックは行われ、新作映画は延期され、コンサートも中止、居酒屋は営業を続けられない。みんなが怒っている。すべては現政権のせいなのです。国民のせいではありません。

 

でもみんな選挙に行かない。結果、コロナで不幸になるのは自己責任とみなされ、無能な政権が生き残るディストピアのような世界が続くのです。

 

来年も再来年も、ずっと俺たちマスクしながら生活しなきゃいけないの?フツーに地獄なんですけどマジで。みんな選挙に行こうぜ!